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菊地 賢司
第41回材料強度と破壊総合シンポジウム論文集, 0, p.75 - 83, 1996/00
シンポジウムの主題である「高温先端材料の強度発現機構」の観点より、高温その場観察法を用いてミクロとマクロ特性を融合させた先端的な手法により耐熱構造材ハステロイXRの損傷過程及び変形機構を解明した例を述べている。走査型電子顕微鏡を用いた高温その場観察法は、(1)ミクロとマクロの視点より材料を観察できる(2)焦点深度が深いので凹凸のある表面でも観察可能である(3)材料試験片並の大きさの試験片を使用できるため、新しい損傷測定法、高温計測法として着目されている。高温熱高温器伝熱管及びシェル構造物などの原子力プラント機器用に開発されたハステロイXRは、使用温度が高いため変形は時間依存となる。粒界ボイドの臨界半径、ボイド成長機構、粒界損傷率、マクロとミクロ変形の関連、予歪み材の粗すべり線、亀裂成長速度パラメータについて学際的に検討し、変形のマイクロメカニクスを明らかにした。
實川 資朗; 海野 明; 高橋 五志生; 飯田 省三; 足立 守; 鈴木 建次*; 菱沼 章道
Effects of Radiation on Materials, p.1083 - 1094, 1992/00
照射した冷間加工材の316ステンレス鋼について、疲労亀裂の成長速度に対する保持時間及び荷重の周波数の効果を評価した。照射は高速炉にて400Cで20dpaまで行った。その結果、高温域での保持時間効果は、保持時間の0.7乗に比例し、またヘリウム量に比例することがわかった。この結果、1023Kで50秒の保持時間を与えると、照射量が20dpaの材料では亀裂成長速度が40倍近くに増加するのである。一方、荷重の周波数効果は低温度域で大きく、これは低周波数域では照射材に特徴的なチャンネル破壊現象が生じたためである。チャンネル破壊は、疲労亀裂の発生を助けるため変化が生じたのである。
近藤 達男; 中島 甫
日本材料強度学会講演論文集, p.101 - 125, 1983/00
原子炉構造材料について、新しい学問として体系を整えつつある環境強度問題を論じた。最初に、各原子炉系で環境強度問題を考える必要の生じそうな構造材料と使用環境との組み合わせを概説した。その後、動力炉として運転経験の豊富な軽水炉の圧力境界材料を例として取り挙げ、下記項目について詳説した。(1)低合金鋼の変動荷重下における亀裂成長におよぼす環境効果の把握と設計コードへの反映について。(2)低合金鋼の破壊抵抗におよぼす環境効果とそのための新しい試験法の提案について。